トランプの相互関税によりチャイナ+1の投資先としてのASEANに見直しの動きがでていると報じられている。たしかにベトナム46%、タイ36%など高い相互関税が課されるのは予想を超えた事態であり、投資先として見直すのは当然であろう。しかし、中国に対する関税はトランプ1.0で最大25%が課税され、バイデン政権を経て今でも維持されている。25年2月と3月には合計20%の追加関税が課された。中国への相互関税34%と合計するとトランプ2.0での中国への追加関税は54%になる。トランプ1.0の25%関税は維持されており、合計すると中国に対しては最大79%の関税が課されることになる。
ベトナムには46%だから中国との関税率の差は33%、36%のタイとは43%、32%のインドネシアとの差は47%となる。高い相互関税を課されても相対的にはASEANは中国よりも米国への輸出では有利なことを見るべきであろう。中国は米国への報復関税34%をかけると発表した。ASEAN諸国は報復関税をかけるとは考えられず、高関税品目の関税引き下げや非関税障壁の見直しなどディールを行うだろう。見通しは判らないが、相互関税の引き下げの可能性は皆無ではない。中国に対しては相互関税がさらに引き上げられなど厳しい措置がとられるかもしれない。そうした点でもASEANのほうが有利である。企業の冷静な対応が求められる。
中国の報復関税に対してトランプ大統領は50%の追加関税をかけると発言した。本気と思えないが、対中関税は100%を超えてしまう。ASEANへの投資の有利さを冷静にみるべきだろう。