当協会研究員の高橋孝治が、『日中建築住宅業協議会メールマガジン』(262号)に寄稿しました。以下、日中建築住宅業協議会メールマガジン編集部の許可を得た上で、当該寄稿を転載いたします。
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令和5年2月14日(火) Vol.262
【日中建築住宅産業協議会メールマガジン】
情報提供委員会
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────────────────────────────────────── ☆ 。* 。☆ 【高橋孝治の中国ビジネス法時事】 ☆ 。* 。☆
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■(第1回)対外貿易法改正のその後/日中外相電話会談
中国の全国人民代表大会は、2023年2月2日午前8時35分にその公式
ウェブサイトに「試験運用から法改正まで:貿易の利便化が再び加速
(従試点到修法:貿易便利化再提速)」というウェブ記事をアップし
ました(註1)。これによると2022年12月30日公布・施行で改正(主席
令第128号)された中国の「対外貿易法」によって、中国の貿易がさ
らに活性化しているということです。
2022年12月30日の「対外貿易法」改正では、中国で対外貿易を行う
事業者は国務院対外貿易主管部門などに登記をしなくてはならないと
いう第9条の規定が廃止されました。これにより中国で貿易業務参入
のハードルは下がりました。しかし、逆にいうと新型コロナウイルス
感染症による経済停滞がかなりひどく、貿易業参入につき登記不要と
するくらいのテコ入れが必要という現実があるのかもしれません。
2月2日に日本の林芳正・外務大臣と、中国の秦剛(チン・ガン)・
外交部長が電話会談を行いました。この中で、秦剛は以下のように述
べました。「中日は一衣帯水の近隣で、平和共存と友好協力が双方の
唯一の正しい選択だ。双方は歴史を鑑とし、初心を守り、妨害を排除
し、方向を正し、新時代の要請にかなった中日関係の構築に共に尽力
すべきだ。今年は中日平和友好条約締結45周年で、中国は日本とこれ
を契機とし、条約の精神を共に振り返り、条約の義務を果たし、『互
いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならない』重要な政治的共
通認識を堅持し、ハイレベル対話・意思疎通を続け、デジタル経済、
グリーン発展、産業チェーン・サプライチェーンの安定維持などの分
野の協力を深め、中日関係を正しい軌道に沿って改善、発展させるこ
とを願っている」(註2)。中国側から「ハイレベル対話・意思疎通を
続け、デジタル経済、グリーン発展、産業チェーン・サプライチェー
ンの安定維持などの分野の協力を深める」ことの呼びかけがなされて
います。
上記の対外貿易法の登記要件撤廃の理由と同じく、経済活性化をし
たいように見え、そのために中国側からも日本とのビジネス連繋を呼
び掛けているように見えます。これから、中国側から積極的に日本に
ビジネスを呼び掛ける可能性もあるため、日中のビジネス状況は注視
したいところです。
(註1) 「従試点到修法:貿易便利化再提速」(全国人民代表大会ウェブサイト)〈http://www.npc.gov.cn/npc/kgfb/202302/5f41dcdf114c4148884901dfc4760261.shtml〉2023年2月2日更新、2023年2月6日閲覧。
(註2)「秦剛外交部長、日本の林芳正外相と電話会談」(中華人民共和国駐日本大使館ウェブサイト)
〈http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/zrdt_1/202302/t20230203_11019019.htm〉2023年2月3日更新、2023年2月6日閲覧。
【筆者紹介】
高橋孝治
環太平洋アジア交流協会 研究員/立教大学 アジア地域研究所 特任研究員
北京にある中国政法大学 博士課程修了(法学博士)。研究領域:中国法・
台湾法。研究の傍ら、中国ビジネスのコンサルティングや講演活動も行って
いる。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。
台湾で「法律専家認証」(法律専門家認定)取得。『日中建協NEWS』にて
「理論と実務から見る中国法教室」を大好評連載中。
ご連絡は環太平洋アジア交流協会まで info@society-apa.com
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一般財団法人日本建築センター内
日中建築住宅産業協議会
貿易主管部門への登記がなくなるということは、かなりの規制緩和ですね。中国のお得意さんも中国の輸入がやりやすくなる。朗報です。