カンボジアはASEANの親中国国家である。一帯一路構想など中国から投資、援助を積極的に受け入れており、中国の衛星国家あるいは代理人ともいわれている。2012年のASEAN拡大外相会議では、南シナ海領域問題での中国の行動を批判する決議がカンボジアの反対でまとまらず、史上初めてASEAN外相会議で共同声明が出せない事態が起きた。中国のカンボジア政府への影響力は極めて強いが、カンボジアの国民は中国をどうみているのだろうか。
シンガポールの著名な研究所(ユスフ・イシャク研究所)が行った有識者の意識調査によると、カンボジアでは中国に対しては「信頼する」が31.8%で「信頼しない」という回答が48.7%で多い。一方で米国に対しては「信頼する」が56.6%に対して「信頼しない」が29.1%となっている。カンボジアでは中国より米国のほうが信頼されているのである。
米中対立下で米中どちらかを選択しなければならないとすればどちらを選択するかについては、「米国を選択する」が55%、「中国を選択する」が45%と米国の方が多くなっている。また、台湾有事での対応については、「中国への支持表明」1.1%に対して「台湾への軍事援助」が10.6%となっている。
中国マネーによりカンボジア政府への強い影響力を獲得しているが、カンボジア国民の心はつかめていない。カンボジアでの中国のパブリック・ディプロマシーは失敗しているといえよう。
中国は戦狼外交官として有名だった元報道官をカンボジア大使として派遣するようです。テコ入れなのかもしれません。
官民不一致の事例ですね。民意が反映されていない政策の証左です。